「誰かに何かを思うことを躊躇ってしまうことってない?」
「どういうこと?」
「うーん、難しいな、なんていうのかな、誰かに何かを思ってしまった時点でそこに関係性が生まれるかもしれない、とか」
「一方的だとしても?」
「そう、一方的だとしても。その誰かとの関係性が生まれることが怖いのかな」
「よくわからないけど、自意識過剰じゃない?」
「そうだよ、そしてこんな目に見えないことを憂慮する」
「考えすぎは毒かもね」
「思考を止めるにも技術が必要だと僕は思うね。人間は社会的な生き物だというから他者を意識してみた結果、こんなことを考えてしまう」
「思われた方に思考が漏れるわけでもないのに」
「そうなったらSFだね」
「フィクションについて考える方がよっぽど楽しいことない?」
「ああ、現実逃避だ」
「それでいいじゃん」
「思考がまとまらないまま逃げるのか」
「君は考えすぎ、暇なの?」
「暇じゃなかったらこんなに考えないさ」
「私はそんなに暇じゃないから」
「僕らのどちらが幸せなんだろうか」
「私でしょ」
「その自信をちょっと分けてほしいよ」
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