一行目だけノンフィクション

「考えるの疲れたし寒いし寝たい」

「まだ5時だよ」

「夕方だ」

「そう、夕方の5時。見ればわかるでしょ」

「わからない、カーテンを閉めているから」

「カーテンぐらい開けなよ」

「それは正しいけれども、正しさの暴力だ」

「それぐらいで?」

「そう、みんな自分の価値基準で当たり前を決めつける。カーテンぐらい開けるべきとか」

「それはそうとカーテンを開けないならどうして夕方の5時だとわかったの」

「スマホの時計が17時を表示しているからだ」

「情緒がない」

「それも決めつけだ」

「不健康だ」

「それも」

「決めつけてる」

「わかってくれたらいいんだ」

「でもさ、自分の価値基準がなかったら生きていけなくない?」

「生きていけないかはわからないけど、人として芯が通ってることは認める」

「だったら」

「それを人に押し付けないでくれということだよ」

「あ、そうですねー」