ネットに人がいて人がいない

「ネットにさ、人がいないと『みんなリアルやってるんだなあ』って思うよね」

「当たり前じゃん、リアルやらないと生きていけないし」

「ぼくは狭間にいるなあ」

「恵まれた人ですね」

「皮肉かな」

「そうでしかない」

「そもそもネットに人がいないって変だよね」

「自分が言ったんじゃん」

「そうだけどさ、ネットに人がいないって表現には『自らの観測範囲で』という言葉が潜んでいるよね」

「みんなそういう意図で使ってるでしょ」

「そうだといいね」

「馬鹿にしてるの?」

「そうじゃないよ、ただ好きなんだ、ネットに人がいたりいなかったりする事象が」

「曖昧だけどね」

「曖昧で自己中心的だ、でも好きだよ」

「それだけ聞くと告白みたい」

「ぼくは告白している、そう世界に」

「寒いよ」

「冬だからね」