書き捨ての詩

ダレ

楽しいね、何もないんだ
空虚であることを楽しもうじゃないか
躰の中の臓器とかぜんぶ、空気にして、風船ごっこ
皮膚を消したら、見えなくなった
見えないのにそこにある
それって、怖いね

見えないことを望んだはずなのに、どうして怖い?

逆なんだ、きっと

笑ってみたら、涙が垂れた

整える人

72時間待ってください
今、調整中ですから
汚い、きたない
今、綺麗にしていますから

遮断、のち、吸収をはじめました
栄養でしょうか、毒でしょうか
もしかしたら腐っているかも
それは、内側の、ことですか?

さよなら、さよなら
そう言っておけば
毎回別れられるでしょうか

見えない、見えない
そう言っておけば
あなたに許してもらえるでしょうか

キレイはキライ

宙ぶらりん
ぼくはどこにいる?
どこにもいないし
ここにいるよ
視覚も聴覚も触覚も
感じているよ
味覚と嗅覚は置き去りにした

ひとりぼっち
きみはどこにいる?
そこにいるね
わかってるよ
孤独も哀愁も妄想も
覚えているよ
怠惰と醜聞は置き去りにして

雨の日にて

雨がベチャベチャ降っている
淀んだ雲が分厚くかかり
健全な精神を覆いつくす
雨を吸った靴の中の宇宙
ああそうだ、いつも
面白いなと思っていたんだ
不快感に非日常の好奇心をのせて
面白がることができる
僕を斜め上から見る僕は
視界の悪いグレーの街を
とても綺麗だと、そう言ったんだ