再編の詩【2016.03-01】

*昔書いたアイデアっぽいものを元にして書くシリーズ。

五感

レッド・ブルー・イエローの光の反射が窓の内を満たした。
こんなにも色が鮮やかなのはいつぶりだろうか。
こんな日はきっと、こういう雰囲気に任せた方がいいのだ。
私はキッチンに向かい、コーヒーを入れ始める。
いつのまにか小声で口ずさんでいたのは、彼のお気に入りの曲。
窓の外で鳥が鳴いた。
今日は笑顔で振り向こう、そう決めた。

見えない

気づいたときには、黒っぽくなっていたの
汚れを落とさなきゃ、綺麗にしなきゃ
お風呂や洗濯は物理的にしか効果がない
しょうがないから、放っておいた
たぶん私が忘れればいいんだって
ただそれだけのこと
本当は放っておけばじわじわ広がること
私は知ってたはずなのに
いつのまにか蝕まれて、悲しくなるでしょう
きれいな心も、きれいな頭も
とっくにもう取り返しのつかないことだって

そんなに望むなら
いくらでも踊ってやる
そんなことで僕は死なない
舞台セットは完璧だ
さああとはもう、決めるだけ
覚悟を決めろ
くるくる踊って、奈落の底へ

マリオネットの憂鬱

今日も愉快なダンスを踊る
美しい操り人形
たくさんの人達を喜ばせ
空っぽの心を満たしている

長い年月の末
路上に捨てられた操り人形
もう動かない手足を見つめ
流れない涙を流す

既知

『魔法はきっとあるんだよ』
その言葉を信じて生きてきた
僕にとっては過酷な世界だったけれど
それでも夢を捨てなかった
君は僕を狂っているって言うんだろう?
そうだ、知っていた
僕はいつだって知っていた
希望なんて、ないことを
壊れていたのは、僕だってことを
僕が本当に捨てなかったのは
反転の可能性
魔法は、解けるものなのさ

視点

混沌の闇に堕ちた
君は何も見えず
もがいてもがいて
さらに堕ちていくでしょう

闇はあたたかく包み込み
どんな時もそばにいる
君はきっと
心を開いて許せるでしょう