再編の詩【2016.02】

*昔書いたアイデアっぽいものを元にして書くシリーズ。

濁り

僕は探し求めた。
見たことはないけれど、きっと存在する。
自分だけの宝石。もしかしたらアイデンティティ。
深く、潜る。僕の中へ。
もっともっと内へ。
それはいつか夢に混じった意識。

「いつまでそんなことをしているの。モラトリアムは終わったの。」

だって、ないんだ。
光は見えなかった。

「自分は自分だって、受け入れるのが人生だよ。」

それは在るもの

絶望を抱いた幸福感の中
彼女は揺れる。脳内を駆け巡る信号。
僕はもう決断していた。
ずっと前から。
僕は僕の幸せを優先する。
僕の中の信号は迷いすらしてくれなかった。
そうなるようになっていたんだ。
偽りだっていいでしょう。
僕も彼女も、忘れてしまう。
それを僕だけが知っていたんだ。

さよなら獏

狼は夢を食べた。なんだが不思議と暖かくなって
走った。一目散に走った。何も考えなかった。
『きっといつか現実で生きられる』
そんな気がした。
狼はいつも孤独だったけれど、夢を食べることは
きっといいことなんだ。『希望』って人間が好きな
言葉じゃなかったっけ?
嬉しくなった。
どうかこのまま。
孤独の鎖が狼を絡めてしまう前に。

メイクアップ

上手につくった道化を纏う
なんて窮屈なんだろう
そんな感情はとうに押し殺した
赤く染めた唇からは
綺麗な言葉がオートで流れる
こうやってきっと
私たちは、自分がわからなくなるんだ

幻の具現を顔に貼り付けて
今日も出かける彼女の耳は
嘘のつけない裸の耳

月の梯子

あなたは何を作っているのですか?

わたしは梯子を作っています。
とてもとても長い梯子です。
月を投げ落としてやるんですよ。

自分のために生きるって苦しいから
誰かのために生きようって思っても
あなたのために生きてるのって言われた人は
なんだか押し付けがましいって思うんじゃないかな

至高

緩やかな高揚と浮遊の感覚
あたたかいのに適温で
耳の穴が開く深夜
美しい言葉と音楽が脳に沁み渡る
背徳的幸福論
論理の渦は快楽的で
逃避して逃避して辿り着く
運命の甘い時間
『こんなにも幸せでいいの?』
『君はほら、現実から逃げているからね。』

俗っぽいのはイタズラ

ドキドキが止まらない!なんて
そんな軽い言葉で表現されるの?
そんなんじゃない。
そんなんじゃない。
もっと心臓の奥まで突き刺して
殺してしまってもいいから
だから、離さないで
ずっと抱きしめてるって
約束したでしょう?
どうせならふたり
どこまでも堕ちて